女性特有の病気である子宮がんは、女性にとって心配な病気のひとつ。
子宮がんや乳がんは、早期発見ができれば治癒できる病となりつつあります。
しかし、そのためには初期症状が現れた段階で見つけることが必須条件となります。
子宮がんなら、不正性器出血(ふせいせいきしゅっけつ)や帯下(たいげ)です。
そもそもがんというのは何なのでしょうか?
人間の身体は細胞からできています。
正確にいうと「常に一定の数の細胞でできている」となります。
けがをして一部の細胞が失われれば、失われた分だけ新しい細胞ができます。
新陳代謝(しんちんたいしゃ)によって、古い細胞は新しい細胞へと生まれ変わります。肝臓、腎臓などの臓器は、大人になっても、傷ついた細胞を補うために再び細胞分裂をするのです。
こうして身体の全体のバランスが保たれているわけで、これが正常な細胞の、数を調節する機能です。
ところが「癌細胞(がんさいぼう)」には、「増殖(ぞうしょく)」といって、細胞分裂を繰り返して異常に増えていきます。
そのため細胞と細胞の一定の間隔が崩れてくっついたり、固まって重なったりして、がん組織を作り、これが腫瘍(しゅよう)となるのです。
浸潤(しんじゅん)
がん細胞は、じっとおとなしくしているわけではありません。
周辺の領域に入り込んで、そこの器官をむしばんでいきます。
これを「浸潤」といいます。
がん細胞は、それぞれの器官の組織(繊維タンパク質)を分解する酵素を出して組織を破壊する力をもっているのです。
がんの因子
がんの遺伝子を活性化する、つまり「発がん」のきっかけは、「初発因子(しょはついんし)=イニシエーター」「促進因子(そくしんいんし)=プロモーター」の組み合わせによって起こると言われます。
イニシエーターがDNA(遺伝子をつくる「デオキシリボ核酸」)を傷つけ、そこにプロモーターが働きかけることでがん遺伝子が活性化すると考えられているのです。
初発因子(イニシエーター)には、多くの化学物質、紫外線、放射線、ウィルスなどが知られています。
ほかにも、喫煙者にがんが多いことが知られているように、煙とタールには発がん性の高い化学物質が多く含まれています。
促進因子(プロモーター)は、初発因子が傷つけたDNAに作用し、癌細胞の分裂を助け、活性化します。
子宮がんと関係が深い初発因子は、ウィルスです。
ウィルスには、自分の遺伝子を感染した人の遺伝子に組み込む特性があるとされます。
子宮がん(子宮けいがん、子宮たいがん)では、早期発見が治癒の鍵となります。
そのため、ひとりひとりが初期症状について理解して常に身体の変化に気をくばっていることが大切です。
と同時に、原因の可能性があること、たとえば、子宮けいがんならばヘルペスウィルス、男性器の恥垢(ちこう)精液のたんぱく質との関係も考慮し、今後、更なる研究が期待されます。
子宮たいがんの場合は、肥満や高血圧、糖尿病の人に多いことや、脂肪の過剰摂取との関係を疑う説もあります。
これらの疑わしい要因を少しでも減らしていくことが、がんの予防へとつながっていくのかもしれません。
がんになってしまったら、早期発見が絶対に必要です。
しかし、そもそもがんというのは、初期症状がないままに進行し、自覚症状が現れたときにはもはやかなりがんが広がってしまっていた、ということが少なくない病気です。
子宮がんは、女性特有のがんですが、不正出血といった自覚症状でもあれば、婦人科の受診に臨むきっかけにはなるでしょう。
けれど実際は、何の自覚症状がないままに進行していることが少なくないのです。
では、「がんにならない」よう予防する手段はないのでしょうか?
たとえば、煙草を吸う人は、吸わない人よりもさまざまながんにおいて確実に高いがんの発生率を示しています。
男女で最も高いがんは、喉頭がんで、毎日たばこを吸う人と吸わない人を比べた場合、男性では32.5倍、女性では3.3倍、吸う人のほうが高い発生率を示しているというデータもあります。
また、「たばこを吸う本人」だけでなく、その配偶者のがん発生率が高まるのですから、喫煙者のご主人をお持ちの奥様にとってこれほど理不尽なことはありません。
国立がんセンターは、がんを予防するために日常生活で注意すべきことをまとめています:
「がんを防ぐための12カ条」
1. バランスのとれた栄養をとる。
2. 毎日、変化のある食生活をする。
3. 食べ過ぎを避け、脂肪は控えめにする。
4. お酒は適量。
5. タバコは減らす。
6. 適量のビタミンをとり、繊維質のものを多くとる。
7. 塩辛いものは少なめにする。熱いものはさましてから食べる。
8. こげた部分は避ける。
9. カビの生えたものは注意する。
10. 日光に過剰に当たらない。
11. 適度なスポーツ。
12. 身体を清潔に保つ。
不正性器出血(ふせいせいきしゅっけつ)は、さまざまな婦人科の病気(子宮がんや子宮筋腫(しきゅうがん)など、実にさまざま)の初期症状、あるいはある程度進行した症状であることから、注意が必要です。
不正性器出血には、1.機能性出血(きのうせいしゅっけつ)と2.器質性出血(きしつせいしゅっけつ)があります。
思春期の女性の場合は卵巣機能が未発達であることが原因で、また更年期の女性の場合は卵巣機能が低下したことが原因で、卵巣から分泌されるホルモンのバランスが崩れて、それで子宮から出血することがあります。これが1.機能性出血です。この場合は、ホルモン薬の投与などで治療をすることもありますが、治療が必要ない場合もあります。
その一方で、重篤な病気の初期症状として注意が必要なのが、「器質性出血」です。性器のがん(子宮たいがんや子宮けいがんといった子宮がん、など)や炎症(子宮内膜炎(しきゅうないまくえん)、など)の疑いがあります。
思春期でもなく、かといって更年期という年齢でもない、「性成熟期」の女性で、不正性器出血があった場合、まずは妊娠しているかどうかを確認します。妊娠していないのに出血があった場合、ほぼすべてといっていいほど、何らかの病気の存在を疑わなくてはなりません。
悪性腫瘍(あくせいしゅよう)(子宮がんなど)の可能性も否定できませんし、良性腫瘍(りょうせいしゅよう)(子宮筋腫)の場合もあります。
一方、妊娠しているときに不正性器出血があった場合も、決して安心はできません。流産、子宮外妊娠(しきゅうがいにんしん)、胞状奇胎(ほうじょうたいじ)など、いずれも緊急を要するものです。
不正性器出血は、子宮がんをはじめとして、婦人科のさまざまな重篤な病気の初期症状であることが少なくありません。
自分で確かめることができる数少ない貴重な手がかりですから、日ごろから注意していることが大切です。
小児期や思春期の不正性器出血は、外傷によるものや性器の炎症などが原因と考えられます。
性が成熟した女性では、卵巣から分泌されるホルモン(卵胞ホルモン(らんほうほるもん)[エストロゲン]と黄体ホルモン(おうたいほるもん)[プロゲステン])がバランスよく分泌されています。
しかし、思春期の女性の場合、卵巣機能が未熟なことから、ホルモンバランスが崩れて子宮から出血することが少なくありません。
このようなホルモンの分泌の異常、バランスの乱れによって起こる性器出血を「機能性出血(きのうせいしゅっけつ)」といいます。
この機能性出血は、なにも思春期の女性に限られたことではなく、性が成熟した女性でも起ります。
特に更年期の女性の場合、卵巣機能が低下し、ホルモンの分泌異常が起こって出血することがあります。
また、更年期前の性成熟期にある女性でも、月経と月経の間の中間期に出血することがあります。
これは排卵期(はいらんき)において卵胞ホルモンの急激な減少が原因とみられ、この場合の出血は、量も少なく、たいてい1,2日で止まります。
このような機能性の出血は、治療は必ずしも必要ないこともあります。
何週間か様子を見ながら、基礎体温と出血との関係をみます。
そしてそれでもなお出血がつづくようならば、卵胞ホルモン薬と黄体ホルモン薬を用いて出血をとめる治療を行います。
不正性器出血は、出血を示す赤色、褐色、あるいはピンク色の帯下(たいげ)も異常をしめすサインとして注意する必要があります。
帯下(たいげ)とは?
帯下は、おりもののことです。
女性の性器(卵管(らんかん)、子宮体部(しきゅうたいぶ)、子宮頸部(しきゅうけいぶ)、膣(ちつ)など)から出る分泌物です。
女性性器の内面の粘膜(ねんまく)は、この分泌物によって常にうるおされているのです。
そして、この分泌物が膣(ちつ)の外へ出たときに「帯下」として自覚されることになります。
自覚というとき、「不快感」を感じる程度に分泌物が増量していることが一般です。
この「帯下感」には個人差がありますから、実際の量と必ずしも一致していません。
帯下には生理的なものと病的なものがありますが、異常かどうか、は、帯下の色を基準とするとよいようです。
そもそも「正常な帯下」とはどのようなものかを把握していることが大切です。
帯下の量は、個人差や年齢差、また妊娠時かどうかによって変わります。
生理的な帯下、つまり正常な帯下は、白あるいは淡い黄色を帯び、のり状かクリーム状をしています。
健康な状態の場合は、膣の内側をうるおす程度なので、外陰(がいいん)に流れ出て不快感を伴うことはあまりありません。
ただし健康な女性でも、月経周期の中間期(排卵期(はいらんき))には、帯下が増量し、無色透明でわずかに粘り気があるものとなります。
妊娠時にも増量し、性的に興奮した場合でも増量します。
異常な帯下とは?
帯下とは、女性性器から出る分泌物で、女性性器内の粘膜をうるおす働きがあります。
つまり、帯下があるということ自体に何ら問題はないのですが、その色(通常、白あるいは淡い黄色でのり状かクリーム状。排卵時には、無色透明で粘り気があります)やにおいに異常がある(濃い黄色、褐色、あるいは血が混じって赤色やピンク、膿のようなものが混じっている。匂いがする)ときに問題となるのです。
特に、子宮たいがんでは、比較的早期からみられることから、早期発見の貴重な手がかりといえそうです。
子宮けいがんの場合、まずは不正性器出血があり、次に異常な帯下があります。
濃性、血性、肉汁様などさまざまな帯下がみられ、がんが進行すると独特のにおい(腐敗臭)が強まることから、注意が必要です。
帯下の量は、非常に個人差がありますし、「自覚」される量(帯下感)として、正常範囲内の少量でも非常に敏感に感じる(不快感)人もいれば、異常に増量しているのにあまり気にしない人もいます。
また、排卵期や妊娠時、精神状態(性的興奮を覚えたときなど)によっても、その量は異なりますので、量ではなく、色やにおいで異常の目安にするのが適当かもしれません。
外陰部にかゆみや痛みがあるときも、病的なものである可能性があります。
黄色の帯下(膿状帯下)は、膿球や細菌が多量に混入したものです。
まず疑われるのは、炎症をともなう膣部びらんや頸管ポリープ、老人性膣炎の可能性です。
また、悪臭(独特の腐敗臭)を伴う場合には、膣がんや子宮がんがある程度進行している可能性があります。
茶褐色の帯下(血性帯下)は、帯下に血が混じっていると考えられますので、不正性器出血(ふせいせいきしゅっけつ)の可能性が疑われます。
不正性器出血は、さまざまな婦人科の病気の初期症状として現れますので注意が必要です。
帯下が茶褐色で、悪臭を伴うときには、膣がん、子宮がん、子宮肉腫(しきゅうにくしゅ)、絨毛上皮腫(じゅうもうじょうひしゅ)、卵管がん(らんかんがん)など、重篤な病気が隠れており、しかもある程度進行している可能性が高いことから、ただちに専門医(婦人科)の診察を受けてください。
また、白色で色としては異常がなくても、その量が異常に多い場合(排卵時を除いて)は、やはり何らかの病気が疑われます。